• Britt Yamamotoさん

    ブリットさん プロフィール写真

    NPO法人iLEAP(アイリープ)代表兼アメリカの大学教授である日系4世アメリカ人。自ら創設したiLEAPでは日本人に対して社会起業について学ぶ教育プログラムを実施し、大学ではリーダーシップ、ソーシャルイノベーションについての教育を行う。 常に自分自身と向き合い、一歩一歩キャリアを歩んできたブリットさんの人生。

     

    記事:堀田哲郎 取材日:2013年7月

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    人をインスパイアすること

    私は現在、アメリカの大学教授とNPOの代表という2つの軸で仕事をしている。双方とも、リーダーシップとソーシャルイノベーションについての教育を行っている。リーダーシップの教育とは言っているが、リーダーシップそのものに強い意識があるわけではない。人々が、自分自身を理解し、人生で何をしていくのか考えられるよう手助けし、インスパイアしているという感じだ。支えるだけでなく、新たな視点や手法を教えることで、彼らがより広い視野で自分の人生を自分で引っ張っていけるようにしてあげたい。

    私の仕事は、彼らに「世の中をこう見るべきだ。」とか「こういう道に進むべきだ。」というのを教えることではない。彼らが本当に行きたいと思っている方向、それは当人でさえ分かっていない場合が多いのだが、それを気づかせるための仕事なのだ。どこでどんな職についていようと、これと同じことをしていると思う。

    自分の強みを理解する

    私の仕事は、何かの問題解決としての意味合いで始めたわけではない。ソーシャルイノベーションのジャンルでは、たいていが「この社会問題を解決する。」という意味合いで始めている人が多い。例えば、この国の貧困を解決するためにNPOを立ち上げた、とか。

    ところが、私の場合はそうではなくて、人々が自分自身と向き合うよう手助けすることが、私の強みであり、私が最も貢献できることだと気づいたのがこの仕事を始めたきっかけだった。そしてその強みを活かす場を作りたいということもあり、NPOをつくり、かつ大学教授として生徒とコミュニケーションをとっている。例えば、アーティストの方で、「自分には音楽の才能があることが分かってミュージシャンになった。」とおっしゃる方がいると思う。私の場合もそれと同じで、生徒にものを教えたり、人をインスパイアしたりすることに才能があると感じたのだ。それをやることで自分自身とても満足できている。

    自分をここまで導いたもの

     私の人生は、1つの大きな出来事や1つの決定的な出会いによって方向づけられたわけではない。いわゆるメンター、ロールモデルとなるような人々に、その時々に出会い、今に至った。自分が尊敬できる人々に出会い、かつその人たちにオープンであり続けたことが、今いる場所まで私を連れて来てくれた。そういった尊敬する人々との出会いが無ければ、今の私はなかったと確信している。彼ら彼女らの共通点をあげるとすれば、皆謙虚で、よく笑うということ。そして、どんな環境でもオープンでいるということだろう。

    全体としての社会のシフトチェンジを目指す

     このような教育の立場にいると、水問題、ホームレス問題などの1つの事象にフォーカスして解決しようとしている人とよく関わる。すばらしい活動をしているのだが、こういった人々の中には、全体像として問題の解決に当たることが出来ていない人もいる。もっと大きい社会変革を見据えて問題解決に当たってほしいと思っていて、まさにそれが、ソーシャルセクターで働く人々に対して私が働きかけていることだ。

    たくさんの作業を抱えてしまったり、大変な状況に陥ったりすると、辞めたいと思う時もあるが、そんな気持ちは長くは続かない。自分たちがやっていることが人々の役に立っていると感じると、辞めたいなんていう気持ちはすぐに吹き飛ぶんだ。日本の高校生には、「自分に優しくあれ」と言いたい。そんなに自分に厳しくあたるなと。(笑)テストの点が悪いから私は賢くないだとか、私はかわいくないんだとか。自分いじめをやめなよと言いたいね。

    常に自分と向き合ってキャリアを判断

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    キャリアを考える上で、1つアドバイスをしたい。「医者になりたいから、医学部に入る。」というふうに、1つの目標に向けて進んで行く人は多いと思う。しかし、私の場合は「今これをやった、そしてこういう状況だ、じゃあ次はどう進んで行こうか。」という問いを自分自身に常に投げかけながら進んできた。後から振り返って「あの時のあの判断は正しかった。」と言うのは簡単だが、その時はどの選択が正解なのか知りようがない。だから、私はその場その場で、自分の持つ情報や状況からベターだと感じる方を選んで進んできたのだ。自分自身と向き合い、家族への影響、周りの人への影響なんかも考えながら。

    大学の専攻も、「将来に役立つのはどれかな・・・」などとは考えず、自分の興味とバックグラウンドから農業関係を選んだ。ただ、生きていると、時には選択肢がないこともあるものだ。「こんなのフェアじゃないんじゃないか。」とか「なんでこんなことを自分はしているんだ。」と思うことは誰にでもある。でも、今までの経験から、それを考えることだけに多くの時間を割くのは、あまり役に立たないと学んだ。選択肢が無く追い込まれた時でも、その中でベストのやり方を見出す。その柔軟性や順応性は、どんなリーダーにも求められる重要なスキルだと思う。自分の意思決定は正しいと信じることも重要。つまり、自分を信じるためには、自分を知らなければならない。自分を知らなければ、正しい選択をしたかどうか知りようがないから。