• Gravning里穂さん

    IMG_0537

    中高一貫校から、早稲田大学第一文学部(現、文学部•文化構想学部)へ入学。就職活動における挫折を経て、失意の中、ワシントン大学へ留学を決意。挫折の中で自分と向き合い、本当のやりがい、個性をもって仕事をする道を見つけた。現在は、人気ブログ”ツカウエイゴ”を執筆する傍ら、自らの留学体験を生かして、ICC(正式名:ICC国際交流委員会)で日々留学アドバイザーを勤める、Gravning里穂さんのストーリー。

    ツカウエイゴ

    http://www.tsukaueigo.com

    インタビュー:2014年4月 記事:伊藤隆広

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    ジャーナリズムへの憧れから大学進学

    ジャーナリズムにひかれるようになったのは、高校の時に先生が様々なジャンルの雑誌を教室の後ろに並べて下さっていて、それを受験勉強の合間に読むのが好きだったのがきっかけ。その中でも、特にジャーナリズム系の雑誌にはまり、こういう記事をいつか書けるようになりたいと思うようになった。もともと、小学生の時にアンネフランクの『アンネの日記』を読んでから、毎日日記を書いていたのもあり、文章を書くのが好きで、高校の時から漠然と「書く」ことで社会に貢献できたらと思うようになった。その後、ジャーナリズムを勉強できる学部という理由で、最終的に地元関西から出て早稲田大学第一文学部に進学することになった。

    就職活動の挫折と大学時代にできなかった留学への挑戦

    日本のキャリア観への違和感が決定づいたのは、就職活動に失敗し周りの皆と同じレールから外れた時だった。私の時は団塊世代が一斉退職する就職に有利な年だった。当時は、私は自分のことを分かっているし、よくある就活本などで自己分析しなくても、普段通りやれば必ず就職できる、という根拠のない自信もあってか、筆記対策だけして特に面接対策はせず、マスコミ業界に絞って就職活動をした。しかし、そんな自信が仇となり、面接では自分をうまく伝えることができず、内定をもらうことなく就職活動を終えることとなる。当時就職活動に失敗したことはとてもショックで、自分を見失ってしまった。

    そんな失意の中、それまでは留学に反対していた母親が、たまたま広告でICCの奨学金制度を見つけて、応募して受かったら留学に行ってもいいよ、と言ってくれた。まだ就職活動で秋採用のチャンスも残っていたけれど、もう何も失うものはないという気持ちで、奨学金制度に応募し、幸いにも受かったので留学することを決意した。完全に自信を喪失し、本当に私が「書く」ことを仕事にできるのかと自問自答し、就職活動に失敗して初めて徹底的に自分と向き合った時期だった。

    留学中のインターンの経験

    留学中は、ありとあらゆることに挑戦したが、その中でも思い出深いのは、ホームレスの自立支援を、新聞販売という手段で支える、リアルチェンジというNPOの編集部でインターンをしたこと。日本人だから英語での記事は書けないだろうと思われたのだろうか、編集部に入ったものの、記事の編集には全く関わらせてもらえず、新聞整理などの作業に追われていた。新聞整理だけをするために来たわけじゃないと思い直し、常にきょろきょろ周りを観察して、自分にも書ける記事がないか必死に探した。すると、アジア人で職場にいるのは私しかいなくて、アジア系アメリカ人の記事を誰も書いていないことに気付き、これは私にしか書けない記事だと思い、自ら編集長にアジア系アメリカ人の低所得者層に関する記事を書かせてほしいと頼みに行った。

    「自分で取材して記事を書くならいよ」と言われ、チャンスが来た!と思い、それから必死で取材をして記事にしたら、初めてこのインターンは記事が書ける人だ、と思ってくれたのだろう。それから、編集長が声をかけてくれるようになり、次の取材を任せてくれるだけでなく、信頼関係を築くことができた。この経験から、自分に何ができるのか、というアピールが大事だと学んだ。インターンで積極的に挑戦してから、仕事は言われたことをやるのではなく、自分で探すものという認識に変わり、信頼を積み重ねることで、仕事は回ってくると気付くようになった。自分に何ができるか、何ができないかをいつも考え、できることを最大限に発揮していく。そうすると、組織にとっても必要な人材になれると思う。

    難しい時に、やり続けること

    留学中、記事が書けなくなる時があった。現在の夫である彼に相談した時に’Keep Writing’ (書き続けなさい)と言われた。やっぱり続けてみるしかないんだと思った。その言葉は、ブログを始めてからも、書くことに行き詰まった時に大いに役に立っている。

    ブログはもともと、2009年にアメリカに永住すると決めた時、アメリカ人である私の夫とコミュニケーションを取るために英語の勉強を始めた父のために、日常で聞いた英語を紹介しつつ自分たちの日々の生活を伝えられたらという思いで始めたが、今でもずっと続いている。時に英語の壁にぶち当たる時もあったりするが、英語も同じで、何か見失いそうになってもやり続けないといけない、辛いけど続ける。そこでやめたら本当に全部終わってしまうから。本当に好きなものだったら、辛くても続けられる。

    すべてはつながっている

    留学後、それまでインターンとして働いていたジャングルシティ(シアトル情報サイト)で就職することになった。自分の好きなことだけでなく、様々なジャンルの記事を書き続けたことで、自然と自分の強みと弱みがわかってくるようになった。また、現職場であるICCでは、リアルチェンジでのインターン経験を生かして、自分に何ができるか常に探して仕事をしている。たとえば、留学生の話をしっかりと聞いて、一対一で真剣に向き合っていくこと。それが私にとって、すごく楽しいことなのだ、と気がついた。私の本当のコアは「書く」ことではなくて、人の話を「聞く」ことだという新しい発見だった。一方で、会社のブログや SNS にも関わらせてもらっているので、ICC の仕事では「書く」×「マーケティング」ももっと研究していきたい。

    これまでの人生を振り返ると、いつも悩んでばかりだったけれど、 私がやってきたことすべてが、今の自分につながっている。もちろん、始めた瞬間はその後どうなって行くかなんて分からないが、例えば、就職活動で失敗した経験があったからこそ、今アメリカでこうして充実した毎日をおくれているのだと思う。たとえ結果が当初望んでいた通りにならなくても、その経験があるからこそ、人生がまたよくなると思うので、諦めないでほしい。就職活動に失敗してもいい人生送れますよ、というメッセージを送り続けるためにも、私自身、これからも頑張り続けたい。いつか、いろんな方々、特にマイノリティの方々に取材をして本を出版する、という夢とともに。